相続人に住所不明や行方不明者がいる場合の手続とは

相続人に住所不明や行方不明者がいる場合の手続とは

目次

1.特殊な事情の相続人

1)相続人が音信不通のため、住所がわからないとき

相続人の中に、病気・失業・事故・金銭トラブル等の理由で失踪している場合や、もともと親戚付き合い等の交流がないために連絡先が分からなくなっていることもあります。

そのような方がいる場合、相続手続が難航します。

相続手続では相続人全員の合意がないと手続ができませんので、相続人である以上、連絡先を探し出す必要があります。

しかし、自分自身で連絡先のわからない相続人を見つけ出すのは、極めて困難です。

このようなケースでは、専門家の力を借りるのがスムーズに解決する近道です。

当相談所でも、住所不明の相続人を探し出し、連絡を取ることができたケースがたくさんあります。

相続人調査サービスのページをご参考に。

2)相続人が行方不明のとき

相続人が失踪により、行方不明となり、生存しているのかどうかもわからないこともあります。

A.家出などにより音信不通で生死不明が7年以上の普通失踪や海や山で遭難して遺体が出てこない状態が1年以上続いた特別失踪の状態のときは、家庭裁判所へ失踪の宣告を申立します。

申立は配偶者や利害関係人です。失踪宣告確定後、10日以内に失踪届を提出します。

失踪者は死亡したものとみなされます。この場合の相続の開始時期は「認定死亡」の時となります。

B.生死不明が7年未満の失踪の場合や生きているのは確認できるが所在がわからない場合は、生きているものとみなされます。

その場合は、家庭裁判所へ不在者財産管理人選任の申立をします。不在者財産管理人は代理人として遺産分割協議に参加するためには権限外行為許可の申立をします。

※不在者財産管理人選任の申立てとは

不在者財産管理人選任の申立てとは、従来の住所又は居所を去り、容易に戻る見込みのない者(不在者)に財産管理人がいない場合に、申立てにより、不在者自身や不在者の財産について利害関係を有する第三者の利益を保護するため、財産管理人選任等の処分を行うことができます。

このようにして選任された不在者財産管理人は、不在者の財産を管理・保存するほかに、家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で、不在者に代わって、遺産分割、不動産の売却等を行うことができます。

※不在者財産管理人とは

不在者財産管理人は、資格は必要ありませんが、不在者の財産を管理するために選ばれるので、職務を適切に行えることが必要です。

主な職務は、不在者のために、財産を管理し、財産目録を作成して家庭裁判所に報告することです。家庭裁判所から定期的に不在者の財産状況の報告を求められることがあります。

申立人は、利害関係人(不在者の配偶者、相続人にあたる者、債権者など)と検察官です。

申立先は、不在者の従来の住所地の家庭裁判所となります。

※不在者財産管理人選任の申立ての必要書類

□申立書
□不在者の戸籍謄本(全部事項証明書)
□不在者の戸籍附票
□財産管理人候補者の住民票又は戸籍附票
□不在の事実を証する資料
□不在者の財産に関する資料{不動産登記事項証明書、預貯金及び有価証券の残高がわかる書類(通帳の写し、残高証明書等)}
□申立人の利害関係を証する資料{戸籍謄本(全部事項証明書)、賃貸借契約書の写し、金銭消費貸借契約書の写し等}

その他

□収入印紙800円+切手代

3)相続人の存否が不確定のとき

A.財産管理人の選任の公告
B.請求催告の公告
C.相続人探索の公告

上記の公告を行っても相続人が見つからなかった場合、内縁の妻や被相続人の療養看護を努めた特別縁故者に財産分与されます。

特別縁故者がいない場合は、残余財産は国庫に帰属されます。